太陽王国『再会』より第二楽章 始まりの前より 1


  「この世界に平和をもたらすために!」
  「フェルラートが太陽の皇子ねぇ……いいんじゃない?ボクとは別の道を歩むんだからね」

  再会は戦場で。
  時は戦乱の時代。落ちた月の子『ミフィラー』と『聖域』をめぐる太陽王国と月公国の戦争の最中。
  これは、後に『聖域攻防戦』と呼ばれる戦いの中での出来事である。


  互いに激戦を極める中、太陽の皇子『フェルラート』は自軍の部下達を率いて王でありながらも戦場で兵と共に戦っていた。
  彼の持つ太陽剣『クレヴァーグ』は武器でありながらも人の生命力を回復する力を持っている。
  戦場できらりと光る黄金の剣はまるで太陽のように、人々に活力を与えているのだ。
  フォルラートは剣を天に翳して叫ぶ。空には二つの太陽。
  「私達は聖域を守護する。一人として聖域に足を踏み入れさせる事はしない!」
  それが誰であろうとも。若き王は心に誓うのだった。
 

  さて、此処で一つの話をしよう。一人の皇子の話だ。
  皇子はまるで夜空に輝く星のような銀色の髪を持って生を授かった。
  王国で一番初めに生まれた皇子様。彼は王様になるべき人であった。
  大層可愛がられながら王になるための教育を受けて育つ。
  勿論、本人もそうなるのだと思っていた。だから努力した。良い王になれるように、と。
  だが、一日にして簡単にその思いは打ち砕かれる事になると誰が知っていただろうか。
  皇子に弟が生まれた。異母兄弟の弟。皇子が生まれたときと同様、第二子の誕生に国中が騒いだ。
  だが、それはその日の内に驚きへと変わる。昼があれば夜があるという当たり前の出来事が覆されたのだ。
  弟皇子が生まれた時、夜にもかかわらず昼間のように太陽はさんさんと光を降り注いでいた。
  太陽王国と言う異名を持つ国での出来事である。国中がその出来事に反応した。
  一番反応したのはこの国の政治に関わりを持つ『真教』と言う宗教集団。
  弟皇子こそが本当の王位継承者なのだ、と主張して聞かなかった。
  宗教国家であるこの国で『真教』はあまりにも大きな権力を握りすぎていたのだ。
  王族達に反論する術はなくして決定は下される。
  あまりにも突然であった。
  「第一子より王位継承権を剥奪。第二子フェルラートを正式な王位継承者とする」
  その意味を理解できない程、皇子は子供ではなかった。
  決められた事は絶対である。
  それ以来、皇子様は皇子様でありながら皇子様ではなくなったのでした。



  そう…それはずっと昔の話である。
  王になり損なった兄皇子、彼の名はアルフォンスという。





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