魔法王国『滅亡』より第一楽章 裏切りと思い 3
「魔道“光の裁き”っ!!」
眩いばかりの閃光がマルジュークの手の中から放たれる。
手を離れた光は一直線に標的めがけ、飛んでいくもののデュランダルはそれを易々とかわす。
そしてマルジュークを斬ろうと剣を振るい、槍と剣がぶつかり鈍い金属音が響く。
この周辺ではまだ敵にも侵入されていないらしく静かである。
聞こえるのは二人の戦う音のみ。
「そんな攻撃当りませんよ、マルさん。もっと集中してください」
薄く笑ったデュランダルは返す力でマルジュークを吹き飛ばす。
とっさに魔法盾で庇うがあまりの威力の強さに近くの円柱に叩きつけられた。鈍い音が背中に伝わる。
そのままずるずると崩れるマルジュークにデュランダルはつまらなそうに呟いた。
「おやおや、こんなもんですか。矢張り他の人と変わらず退屈ですね」
君ならもっと楽しませてくれると思ったんですが、とデュランダルは呟いた。
マルジュークは首をあげて目の前に立つデュランダルを見上げた。
この人はこんな風に笑う男だっただろうか。魔法王国にいた時はこんな風には笑わなかった。
どんな風に笑って……。
デュランダルは笑っていただろうか。
マルジュークは思い出せなかった。
自らの身体から流れる血。騎士として見慣れたはずの紅く深い色はだくだくと滴っていた。
血をすくいあげ、マルジュークは両手の平に文様を刻む。両手をデュランダルのほうに突き出し叫んだ。
「血魔道っ!!」
マルジュークの足掻きを予想していなかったのか。
その身を犠牲にした攻撃にデュランダルの反応が一瞬遅れたのが見えた。
次の瞬間、まるで煙幕のような煙により視界が塞がれる。爆発によって姿は掻き消された。
当ったか。それとも外れただろうか。
ゆっくりと立ち上がったマルジュークは再び槍を取り、神経を澄ませる。
くすり。
小さな笑い声、が。
「もっと狙いは定めないと」
聞こえた声は背後から。振り返るも姿は見えない。
何処だ。
この時、迫る刃にマルジュークは気が付かなかった。ゆっくりと彼女に近づく血色に染まった鈍い光。
「ねぇ、マルさん」
「!!」
マルジュークが気付いた時、それはもう彼女が反応するのには遅すぎる距離だった。
斬られる。
覚悟して彼女は目を瞑った。私にデュランダル様を止める力はなかったようだ。
瞑った目の裏に浮かんだのは相棒であるウルグラントの顔だった。
あぁ、謝らなければ。身勝手な行動で悪かった、って…。
声が、聞こえた。
「血魔道!」
爆発。
それはデュランダルが放ったものではない事は確かだった。
その声が、何よりの証拠。
「おや、どうしました。怖い顔をして……一体何のようです?」
デュランダルは呆れたように呟いた。また一人つまらない奴が増えたと言うように。
「今度は貴方が相手ですか。ウルグ」
立っていたのは紫紺の鎧を纏いし『陰』を操る。魔道剣士『ウルグラント』。
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